以前に載せた稿の焼き直しです。英国のロックバンド『ローリングストーンズ』は、1960年代前半から現在まで半世紀以上、第一線で活躍を続ける、ロック界の最高峰に君臨するバンドであると言ってもいいでしょう。
途中、メンバーの脱退、加入はあったものの、世界的人気を誇るバンドが一度も解散せずに半世紀も転がり続いているのは、極めて異例な事です。
途中、メンバーの脱退、加入はあったものの、世界的人気を誇るバンドが一度も解散せずに半世紀も転がり続いているのは、極めて異例な事です。
ローリングストーンズは、よくビートルズと比較されますね。揃いのスーツを着た初期ビートルズ=優等生という印象に対して、ラフなスタイルで長髪のストーンズ=不良というイメージを打ち出したわけなんですが、これは、お互いのマネージャーが宣伝のために作り上げたイメージだったようで、水と油に見える両グループは、とても仲がよかったようです。というのも、アマのロックグループのストーンズをプロモーターに推薦したのは、ビートルズなんだそうです。そのビートルズでさえ、1970年に解散しているわけですから、ローリングストーンズが、いかに頑張っているのかが、よく判ります。
プロモーション戦略としての「不良」というイメージであったストーンズですが、1960年代後半からそれを地で行くようになる。メンバーの度重なる麻薬所持による逮捕や裁判、1970年代半ばにはカナダの首相夫人とのゴシップなど、スキャンダルにまみれます。
英国で生まれた諺に、「転石 苔(コケ)を生ぜず」(A rolling stone gathers no moss)というのがある。商売替えや、腰が定まらずに、ひんぱんに引越ししていてはお金がたまらないといった意味で、伝統を重んじ、安定を大切にしたイギリス人の考え方をあらわしている。
「ローリングストーンズ」は、この諺から引用、イギリス流に「風来坊」を自称して名をこしらえたのですが、この諺が米国に渡ると新しい解釈が生まれた。転がり続ければ苔がつかない、錆び付かないということで、動いていれば新鮮であるという意味で捉えられてしまった。
「情けは人のためならず」は、若い人の多くは捉え方が違うよ、と言えても、この米国流の解釈は、誤りでは片付けられなくなってしまった。すでに英米両方の意味をあげている英和辞書がいくつもある。
浅野ゆう子が『転がる女にコケはつかない』というエッセイ集を出したし、石川さゆりの曲『転がる石』は自分の娘に伝える歌で「転がって、ぶつかりながら自分の道をさがしてほしい」というもので、日本では米国流解釈が主流になってきています。
諺は表現が簡潔だから、どうしても、意味のどんでん返しがおこりやすいですね
諺は表現が簡潔だから、どうしても、意味のどんでん返しがおこりやすいですね