上がシャクヤク(芍薬)、下がボタン(牡丹)です。並べてみるとはっきり違いますが,漠然とみると非常によく似ています。シャクヤクは「草」、ボタンは「木」です。
「立てば芍薬、座れば牡丹」
「立てば芍薬、座れば牡丹」
鳩はクークーと鳴くから鳥に九が付いたんだそうです。烏は鴉という字もあるが、「ガァーガァー」と鳴くから牙という字を当てた形声文字。まだあります。蚊は「ブンブン」とうるさいから。猫は音読みすると「ミョウ」、「ミャーオ、ミャーオ」と鳴くから苗が付いた。そういえば中国少数民族に苗(ミャオ)族がありました。貴州省に多いという。
Tシャツは、Tの字に形状が似ているからとわかるのですが、では、Yシャツはわかりますか?英語圏の人が発音するホワイトシャツが、ワイシャツと聞こえたからなんだそうです。ちなみにT字路は、道路交通法上は丁字路なんだそうです。
さて美人の姿を形容する言葉として、「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と例えられていることは有名ですね。美人はいいですね、存在自体が華です。ただ、「美しい、きれいだ!」というだけでは実に能がないですね。ということで、色々な表現を探してみました。男性でしたら愛する奥さんに、あるいは射止めたい女性に使ってください。コツはニヤニヤして言わないこと。
「綽約多姿」(しゃくやくたし)という語がある。「綽約」とは、ゆったり、しとやか、しなやか、たおやかのことだそうで、この「綽約」から花の「しゃくやく」が名付けられたという。
「あなたはまさしく立てばシャクヤク、座ればボタンのようですね」 なんて歯の浮いたようなことは中々言えませんよね。
「沈魚落雁閉月羞花」(ちんぎょらくがんへいげつしゅうか)は、そのあまりの美しさに魚は沈み、雁は落ち、月は閉じて花も羞じらうという意味ですね。ここまで長く言わず、普通は「閉月羞花」あるいは逆にして「羞花閉月」ともいいます。
「貴女の美しさに、花も羞じらい月も閉じてしまいますね」 オベンチャラとわかっていて、噴出すことはあっても怒る女性はいないでしょう。
「明眸皓歯」(めいぼうこうし)これは明るい瞳と、白く輝く歯のことです。唐の詩人杜甫(とほ)が作った詩の中で、楊貴妃の美貌を形容した熟語です。美人の条件として、明るい瞳と白い歯は絶対条件ですね。類義語として「蛾眉皓歯」(がびこうし)「朱唇皓歯」(しゅしんこうし)といったものがありますが、蛾眉とは蛾の触角のように細く形よい三日月の眉をいいます。
耳から入って、すぐに漢字が頭で変換出来ない熟語は説明を要します。彼女が知識欲旺盛だったら耳を傾けてくれます。またそうした女性でないとつまらない話ばかりになってしまいますね。
「佳人薄命」(かじんはくめい)これは「美人薄命」と言われることが多いですが、本来は「佳人薄命」として輸入され、美人と置き換えられた。「佳人」はただの「美人」とはニュアンスが違いますね。見た目が美しいだけでなくて、心ばえがよく素直で知的な女性といった印象です。美人より奥が深い。たしか最初に佳人薄命とされたのが、春秋時代末期の「西施」(せいし)でした。
この熟語はよく知られているだけに多くのジョークがあります。今は「肥満薄命」と呼ばれる。また美人妻が浮気を夫に質された時、「美人釈明」という。佳人妻はそんな浮ついたことはいたさないのです。着物美人はパンツを穿(は)かないということに掛けて「美人穿くめい」。
「( )姿媚態」の( )に入る漢字は「容」である。○か×か?といった問題があったが、正しくは「妖」です。「妖姿媚態」(ようしびたい)です。妖しい姿、媚びを含んだ素振りといった意味なのでしょうが、不美人にこの言葉は似合いませんね。滑稽になってしまいます。英語ならセクシィポーズともいうのでしょうか、美人に妖艶なポーズで誘われたら、大概の男は、妻や子供なんぞ、どうでもよくなっちゃうのと違いますか。美人局(つつもたせ)に御注意。
「春蘭秋菊」(しゅんらんしゅうぎく)「どちらも美人で甲乙つけがたい」という意味ですね。美人にもいろいろな種類があるという意味にも使われるようです。
「一笑一金」という言葉があります。美人だからこそ一笑一金なのです。どうも美人は、いつも衆目にさらされ、注目されていることを自覚していますから、愛嬌を振りまくことがまれで、お高くとまっている印象を受けます。それゆえに美しい人の自分に向けられた微笑みは、男にとって天にも昇る気持ちになります。「千金」にも値します。人は生まれながら平等であると、うそぶいた人がいましたが、ブスと美人とでは天と地の開きがありますね。
「吹気勝蘭」(すいきしょうらん)は、美人の口から吐き出される気が、蘭の香りよりかぐわしいと感じる言葉です。美人は得ですね。息まで特別のものになってしまう。
「仙姿玉質」(せんしぎょくしつ)超俗した美しい姿と玉のように滑らかな肌。
「掃き溜めに鶴」といった男ばかりの中の紅一点をさす言葉があるが、四字熟語では「万緑一紅」。(ばんりょくいっこう)これは美人でなくても目立ちます。
「眉目秀麗」(びもくしゅうれい)「天真爛漫」(てんしんらんまん)という形容は、男に対しても使いますね。
今はあまり聞かれないが、昔の女性を形容する和語に「たおやかな」という表現がある。この言葉がことのほか好きですね。必ずしも美人を形容する言葉ではないのですが、広辞苑によると「しなやかで、弱々しく、優雅なさま」をいう。私には、たおやかな人は「美人」でなくてはならないのである。
しかし、いくら美人といっても無学文盲、無知蒙昧では人生のパートナーには出来ないですね。飾って置くだけというわけにはいかない。女房にするには「才色兼備」な女性がいい。「詠雪之才」(えいせつのさい)という言葉は、優れた文才を持つ美人をいいます。それに加えて「八面玲瓏」(はちめんれいろう)な女性がいい。すなわち心が清らかで何のわだかまりのない人をいう。「玲瓏」(れいろう)とは玉の様に透き通る美しさをいう。
「高嶺之花」(たかねのはな)は美人の代名詞であるとともに、遂げることが出来ぬ恋のあきらめの境地の意味も含んでいます。
「我ながら及ばぬ恋と知りながら思いよりける心太さよ」
平安時代の心太(ところてん)売りが詠んだ歌ですが、すんなりわかり、説明不要ですね。駄目で元々と高嶺の花に果敢に挑んでいく勇気を称えたい。風采のあがらぬ男に美人の女房、といった例は、世間によくあります。適齢期の美人の周りの男達は、どうせ叶わぬ恋だわ、と尻込みばかりだったりして、その中で、「えい、駄目元だわ」と行動を起こして、案外すんなり射止められたのかもしれません。
恋の告白というものは案外、勇気がいるものです。心細き人に、私がきっかけを伝授しましょう。小道具に、ゆで卵を二個用意します。彼女に一個すすめて、残る一個をあなたは白身を残して食します。彼女は「あら、あなた白身はお嫌いなの?」と来る。そしたら彼女の目を見て言って下さい。「僕はキミだけが好きなんだ」
くだらないサゲになってしまいました。