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Channel: 勢蔵の世界
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「鶴」について

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左・「丹頂」日本では北海道東部で繁殖し、渡りをしない留鳥である。営巣環境は広大な湿原や湖沼の岸に広がるヨシ原などである。北海道に約350羽、大陸には推定約1000羽が生息する。
右・真鶴(まなづる)シベリア東南部、中国東北部、モンゴル北部で繁殖し、冬期には朝鮮半島、中国南部、日本に渡る。日本では鹿児島県出水市に冬鳥として約1000羽が渡来する。

  「鶴」について

 「鶴は千年亀万年」という言葉がありますが、鶴は鳥の中では特に長生きで、野生で25年~30年、動物園ではその倍位生きるそうです。ちなみに亀は150年生きた例があるそうです。
 『淮南子』の「説林訓」に「鶴寿千歳」とあるのが由来ですが、前漢の武帝の頃に編纂されたものだから紀元前と古い。
 日本の知られた昔話に「鶴女房」という話がある。「鶴の恩返し」ともいう。傷ついた鶴が助けられたお礼に娘に変身して、見事な反物を織るという恩返しのお話。鶴が美女と化す話は中国に古くからあったようです。悠然と空を飛ぶ姿から、鶴は神仙に関係ある仙禽とみなされ、鶴に化して故郷に帰った仙人の話もある。
落語に「つる」という噺があります。
「大昔のこと、白髪の老人が遙か沖の方を眺めていると、唐土(もろこし)の方から雄の首長鳥が1羽、『つ~』っと飛んできて、巌頭の松に『ポイ』と留まった。その後から雌の首長鳥が『る~』っと飛んできて、『つる』になったんだよ」 というセリフがある。
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鶴は地上性、特に湿地での活動に高度に順応した鳥であって、木に止まることはできないようです。
よく水墨画で、鶴が松等の樹に止まる構図がある。これは一般にコウノトリと鶴とを混同しているとされているが、松と鶴で、あくまでも縁起の良いものを組み合わせての吉祥図像であろう。→
 
 江戸時代には鶴の肉は白鳥とともに高級食材として珍重されていた。武家の本膳料理や朝鮮通信使の饗応のために鶴の料理が振る舞われたことが献立資料などの記録に残されている。もっとも農民、町民の捕獲は許されなかった。
 赤穂浪士のことを調べていて、細川家預かりの浪士達の膳に、正月に鶴の肉が入った吸い物が出たという記録がある。「我ら浪人してからは粗食に慣れました。今は身体も動かさぬゆえ美味しい食事は何卒勘弁していただきたい」と、内蔵助は細川家家来に願っている。
 江戸時代、宮中では正月17日に鶴包丁の儀式が行なわれた。天皇の御前で鶴を型に従って解体するのである。幕府や大名家でも年頭や慶事にはよく鶴を食した。鶴が減少したので、享保年間に幕府は、饗応での鶴肉の使用を禁じている。
 丹頂の肉は、かたくてあまり美味しくなく、真鶴が好まれたという。飛来数の少ない黒鶴は特に珍重されたという。

 ツルの古名はタヅですね。『万葉集』などにはツルではなくタヅで登場する。
 「和歌の浦に潮満ち来れば潟を無み芦辺をさして田鶴(たづ)鳴き渡る」(山部赤人)
 鶴に関する日本の俚諺は多くはない。
 「雀の千声、鶴の一声」、「鶴は千年、亀は万年」、「掃き溜めに鶴」くらいでしょうか。男ばかりの集まりのところに女性が一人いると、「掃き溜めに鶴」と言いますが、女性が大勢いても、典雅で醸し出す気品が他を圧倒すれば「雲中白鶴の如し」という表現があります。

 相撲甚句の中に「鶴と亀の縁談話」があります。私が甚句を歌う際のレパートリィの一つです。相撲甚句の多くは、のどを聞かせるものであって笑いを誘うものではありませんが、この甚句はニヤリとします。
 
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