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Channel: 勢蔵の世界
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清潔日本

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 清潔日本
 いささか旧聞に属することで恐縮ですが、1960年というから私が小学生の頃、英国のエリザベス女王の妹、マーガレット王女が写真家のアームストロング・ジョーンズ氏と結婚した。このときはTVがその華麗な式次第を伝えた。式が終わると、二人はバッキンガム宮殿のバルコニーに姿を見せ、群衆の祝福に手を振ってこたえた。
 数日後、ロンドンの新聞に投書がきた。「ご両人は手を振りながら、“これくらいで、もういいでしょう” “もう少しの辛抱よ。もっと大きく手を振った方がよくはなくて” などと話し合っていた。いささか不謹慎かと思われる。ついでながら小生は、読唇術を心得ている」
 マーガレット王女は、映画『ローマの休日』のモデルとも言われる、 美しく自由奔放なプリンセスですね。
 
   ↑(若きエリザベス女王、フィリップ殿下、マーガレット王女) 
 
はたまた昔の話ですが、1975年といえば三重国体が開催されて、私は伊勢で教員をしていたからよく覚えている。その年5月にエリザベス女王夫妻が鳥羽の真珠島を訪れた。真珠島では保健所の指示で、従業員に身体検査と検便が行われた。ご接待役の御木本会長夫妻も、その例外ではなかった。女王夫妻の触れるかも知れないところは、家具であれ、机であれすべて完全消毒された。御木本夫妻は手作りのクッキーと紅茶でおもてなしすることになっていたが、クッキーを消毒済みの棚に入れ、封印した。銀器もナイフもフォークも煮沸した。すべてが封印されて国賓の到着1時間前に封が切られた。真珠島のあと女王夫妻は鳥羽国際ホテルで日本最後の夜を過ごしたが、この間、消毒済みの7人の調理人は24時間の外出禁止で、カン詰となった。
「殿下、すべてが煮沸され、封印されていました」 この話にフィリップ殿下は驚いた。女子従業員たちを見やって
「彼女たちも煮沸されたのですか(Were they boiled?)」 と皮肉をとばされたそうだ。宮内庁も外務省もそういう指示をしていないというから、地元の役人がこういう馬鹿げたことを職務精励だと思い込んでいたのだろう。
「日本では大事な客がくると、すべてを煮沸して歓迎するんだよ」 東洋の神秘を思わせるジョークは、女王ご夫妻の格好なみやげ話になったろうが、聞く方には、悪疫未開の地の冒険旅行談に思えてくるに違いない。
             真珠島でのエリザベス女王夫妻↓
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